10.胃腸薬(整腸系)

【禁】:使用してならない、しない、避ける、適用外
【相】:治療を行っている医師、調剤を行った薬剤師への相談
【重】:まれに起こる重篤な副作用
【副】:一般的に現れやすい副作用、漢方製剤では不向きも含む
【注】:再発を招く、要観察、注意喚起、その他注意点
【効】:漢方製剤等の効能、効果
【主】:主製剤

◆胃腸薬(整腸系)で使われる成分

■整腸

●生菌

-腸内細菌のバランスを整える

・ビフィズス菌

・アシドフィルス菌

・ラクトミン

・乳酸菌

・酪酸菌

●生薬

ケツメイシ マメ科 エビスグサ等の種子
整腸作用
日本薬局方収載:ケツメイシは煎茶として整腸、腹部膨満感にも
ゲンノショウコ フウロソウ科 ゲンノショウコの地上部
整腸作用
日本薬局方収載:ゲンノショウコは煎茶として整腸、腹部膨満感にも
アセンヤク アカネ科 ガンビールの葉や若枝から得た水製乾燥エキス
整腸作用

●その他

・トリメブチンマレイン酸塩

-消化管の平滑筋に直接作用、消化管の運動調整(低下時⇒亢進、亢進時⇒抑制)

【相】 肝臓病 【重】の可能性が高まる
【重】 肝機能障害

止瀉(ししゃ)

収斂(しゅうれん)

-腸粘膜のたんぱく質と結合、不溶性の膜を形成、腸粘膜を引き締めることで腸粘膜を保護

・全体

【禁】 急性の激しい下痢や腹痛、吐き気を伴う 細菌性の下痢や食中毒が疑われる場合の使用は腸の運動を鎮めるとかえって悪化のおそれ

次没食子(じもっしょくし)酸ビスマス

【禁】 長期連用 精神神経症状の報告があるため
飲酒 循環血液中への移行の高まりによる精神神経症状を生じる可能性
妊婦、妊娠疑い 血液-胎盤関門の通過による胎児への影響
【相】 胃潰瘍、十二指腸潰瘍 損傷した粘膜からのビスマスの吸収の高まり

・次硝酸ビスマス

【禁】 長期連用 精神神経症状の報告があるため
飲酒 循環血液中への移行の高まりによる精神神経症状を生じる可能性
妊婦、妊娠疑い 血液-胎盤関門の通過による胎児への影響
【相】 胃潰瘍、十二指腸潰瘍 損傷した粘膜からのビスマスの吸収の高まり

・タンニン酸アルブミン

※似た名称を持つものとして、「タンニン酸ベルベリン」があり、混同しないよう注意

【禁】 牛乳アレルギー カゼイン(牛乳に含まれるたんぱく質)からの精製成分のため
【重】 アナフィラキシー

・生薬

ゴバイシ ウルシ科 ヌルデの葉上にヌルデシロアブラムシが寄生し、その刺激で葉上に精製したのう状虫こぶ
収斂
オウバク ミカン科 キハダやフェロデンドロン・キネンセの周皮を除いた樹皮
収斂、抗菌、抗炎症
オウレン キンポウゲ科 オウレン等の根をほどんど除いた根茎
収斂、抗菌、抗炎症

●ロペラミド塩酸塩

・食べ過ぎや飲み過ぎによる下痢、寝冷えによる下痢に使用するもので、下記の【禁】のとおり、食あたり等には使用しない

【禁】 食あたり、水あたりによる下痢 適用外
発熱を伴う下痢、血便、粘液便 適用外、症状の悪化や治療の延長の可能性
15歳未満 適用外
機械類の運転操作 【副】のため
飲酒 中枢抑制作用が増強する可能性
授乳中 乳汁中への移行
胃腸鎮痛鎮痙薬との併用 腸管の運動を低下させるため
肛門疾患(便秘を避けなければならない場合) 【副】のため
【重】 イレウス様症状
アナフィラキシー
皮膚粘膜眼症候群
中毒性表皮壊死融解症
【副】 めまい、眠気、便秘

●腸内殺菌

-細菌感染による下痢の鎮静

-腸内細菌にも抗菌作用が出るが、ブドウ球菌等に対する抗菌が優位

-下痢状態では腸内細菌のバランスが乱れているため、正常に近づけることに繋がる

・ベルベリン塩化物

-「オウバク」や「オウレン」に含まれる「ベルベリン」は抗菌や抗炎症を併せ持つ

-オウバクのエキス製剤は健胃より止瀉を期待して使われる

・タンニン酸ベルベリン

-「オウバク」や「オウレン」に含まれる「ベルベリン」は抗菌や抗炎症を併せ持つ

-オウバクのエキス製剤は健胃より止瀉を期待して使われる

-消化管内で「収斂の「タンニン酸」」と「抗菌の「ベルベリン」」に分かれて作用する

※似た名称を持つものとして、「タンニン酸アルブミン」があり、混同しないよう注意

・アクリノール

(もく)クレオソート

-局所麻酔も併せ持つ

-過剰な腸管運動を正常化しつつ、水分や電解質の分泌抑制による止瀉作用も併せ持つ

●吸着

-腸管内の異常発酵による有害物質を吸着

・全体

【相】 腎臓病 無機塩類の排泄が遅れることによる体内への貯留

・炭酸カルシウム

・沈降炭酸カルシウム

・乳酸カルシウム

・リン酸水素カルシウム

・天然ケイ酸アルミニウム

【禁】 透析治療中 アルミニウム脳症を引き起こす可能性
長期連用

・ヒドロキシナフトエ酸アルミニウム

【禁】 透析治療中 アルミニウム脳症を引き起こす可能性
長期連用

・生薬

カオリン カオリナイトを原料とする粘度
吸着
薬用炭
吸着

瀉下(しゃげ)

・全体

【禁】 瀉下薬の複数の併用 激しい腹痛を伴う下痢、下痢に伴う脱水症状の可能性

●小腸刺激性瀉下

-腸管への刺激で反射的な腸運動を引き起こす

・全体

【禁】 大量使用 刺激が増大し、激しい腹痛や炎症を引き起こす可能性
【注】 妊婦、妊娠疑い 刺激による流産、早産の可能性

・ヒマシ油

-ヒマシ(トウダイグサ科トウゴマの種子)から得られる油

-小腸でリパーゼの働きにより生じる分解物が小腸を刺激する

-日本薬局方収載:ヒマシ油又は加香ヒマシ油は腸内容物の急速な排除のために使用される

誤飲等による中毒のために腸管内の物質を速やかに排除したい場合に使用されるが、下記の【禁】のとおり使用していけない場合もあるため注意

【禁】 脂溶性物質による中毒(防虫剤、殺鼠(さっそ)剤の誤飲等) ナフタレン、リン等がヒマシ油に溶け出し、中毒を増悪させる可能性
激しい吐き気、嘔吐 峻下(しゅんげ)(急激な瀉下作用)のため
妊婦、妊娠疑い 峻下(急激な瀉下作用)のため
3歳未満 峻下(急激な瀉下作用)のため
授乳中 乳汁中への移行による乳児の下痢を引き起こす可能性
駆虫薬との併用 駆虫成分が腸管に止まらず吸収されやすくなり全身への副作用の可能性

●大腸刺激性瀉下

-腸管への刺激で反射的な腸運動を引き起こす

・全体

【禁】 大量使用 刺激が増大し、激しい腹痛や炎症を引き起こす可能性
【注】 妊婦、妊娠疑い 刺激による流産、早産の可能性。ただし、「センナ」「センノシド」は【禁】

・ビサコジル

-大腸内の特に結腸や直腸粘膜に刺激を与える

-結腸での水分吸収抑制による糞便のかさ増大

-内服薬のほか、浣腸薬としても使われる

胃内での分解による効果低下や胃粘膜への不必要な刺激を避けるため、コーティングされているものが多い腸溶性製剤

【禁】 腸溶性製剤服用前後1時間以内の制酸薬の服用や牛乳の摂取 胃内でコーティングが溶けることによる効果低下や無用な刺激の可能性

・ピコスルファートナトリウム

-胃や小腸で分解されず、大腸内の細菌によって分解され刺激を与える

・カサントラノール

【禁】 授乳中 乳汁中への移行による乳児の下痢の可能性

・生薬

センナ マメ科 チンネベリセンナ等の小葉
大腸刺激
抽出された成分「センノシド」としての使用もある
【禁】 妊婦、妊娠疑い 刺激による流産、早産の可能性
授乳中 乳汁中への移行による乳児の下痢の可能性
ダイオウ タデ科 ショウヨウダイオウ等の根茎
大腸刺激
「センノシド」を含む
【禁】 妊婦、妊娠疑い 刺激による流産、早産の可能性
授乳中 乳汁中への移行による乳児の下痢の可能性
【注】 ダイオウを含む漢方 瀉下が必要無い場合は副作用扱いになるため、ダイオウを含む漢方と瀉下薬との併用は注意
アロエ ユリ科 ケープアロエ等の葉から得た液を乾燥したもの
大腸刺激
ジュウヤク ドクダミ科 ドクダミの花期の地上部
大腸刺激
ケンゴシ ヒルガオ科 アサガオの種子
大腸刺激

●無機塩類

-腸内容物の浸透圧を高め、糞便のかさをまし、併せて大腸を刺激する

・全体

【相】 腎臓病 無機塩類の排泄が遅れることによる体内への貯留

・酸化マグネシウム

【禁】 透析治療中 アルミニウム脳症を引き起こす可能性
長期連用

・水酸化マグネシウム

【禁】 透析治療中 アルミニウム脳症を引き起こす可能性
長期連用

・硫酸マグネシウム

【禁】 透析治療中 アルミニウム脳症を引き起こす可能性
長期連用

・硫酸ナトリウム

【相】 心臓病 血液中の電解質のバランスが損なわれることによる心臓への負担が増すため

●膨潤性瀉下

-腸管内で水分吸収を行い、腸内容物に浸透させることで糞便のかさを増し柔らかくする

-十分な水分摂取をすることで効果が高まる

・カルメロースナトリウム

-「カルボキシメチルセルロースナトリウム」とも

・カルメロースカルシウム

-「カルボキシメチルセルロースカルシウム」とも

・生薬

プランタゴ・オバタ オオバコ科 プランタゴ・オバタの種子や種皮
膨潤性瀉下

●ジオクチルソジウムスルホサクシネート

・略称は「DSS」

・腸内容物への水分の浸透をしやすくし、糞便の水分量を増やし柔らかくする

●マルツエキス

・主成分の麦芽糖(60%以上)が腸内細菌によって分解発酵することにより生じるガスで便通を促進

・作用が穏やかなため、主に乳幼児用の瀉下薬に使われる

・水分不足による便秘(母乳不足や調整乳の希釈の誤り等)には効果の期待はできない

・水飴状で甘いため、乳幼児の発育不良時の栄養補給としても使われる

■漢方

桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)

・中↓

・カンゾウ

【効】 腹部膨満感がある しぶり腹(便が残る感じがあり腹痛を繰り返し便意を催す)、腹痛、下痢、便秘

大黄甘草湯(がいおうかんぞうとう)

・不問

・カンゾウ、ダイオウ

【効】 便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ、湿疹、皮膚炎、にきび、食欲不振、腹部膨満、腸内異常発酵、痔
【副】 虚弱、胃腸が弱い、下痢 激しい腹痛を伴う下痢
【禁】 他の瀉下薬との併用

大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)

・中↑

・ダイオウ

【効】 下腹部痛、便秘しがちなもの 月経不順、月経困難、月経痛、便秘、痔
【副】 虚弱、胃腸が弱い、下痢 激しい腹痛を伴う下痢
【禁】 他の瀉下薬との併用

麻子仁丸(ましにんがん)

・中↓

・ダイオウ

【効】 ときに便が硬いもの 便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ、湿疹、皮膚炎、にきび、食欲不振、腹部膨満、腸内異常発酵、時
【副】 胃腸が弱い、下痢 激しい腹痛を伴う下痢
【禁】 他の瀉下薬との併用

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